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救急での酸素投与は?
救急で搬送された患者で次に示すような状態には、酸素投与を行う場面が考えられます。
①呼吸不全など急性疾患を来した時
②慢性呼吸不全の酸素療法の調整等が必要になった時
③外傷患者で予防的に酸素投与が必要と判断された時
酸素療法には様々な場面を想定する必要があります。
救急時に使用するデバイスは何?
救急隊での処置(病院へ到着前)
救急隊が到着したらまず、患者の病歴の確認・全身の観察とバイタルの測定を行います。
この中で、機器による測定(パルスオキシメータ)でSpO2(酸素飽和度)の値を確認し、90%以下であれば「簡易酸素マスク(中濃度マスク)」で酸素投与を行い、SpO2を90~95%に維持するように投与する酸素の量を調整する処置を行います。これでも値が上がらない、維持できない場合はバックバルブマスクを使用して高流量の酸素を投与する補助の換気を行います。
病院での処置(病院の到着後)
患者が病院に到着したら病院で決められた手順に沿って初期の評価等を行い、ここで酸素療法実施の有無について検討します。
患者の状態により、まずは重大な生理学的異常の対処・治療を行います(輸血・ドレナージ等)。
通常、手順はABCをまず優先して治療を行います。
(A:Airway 気道、B:Breathing 呼吸、C:Circulation 循環)
呼吸状態良し悪しは何処で判断する?
呼吸の異常
呼吸の異常は、胸郭の異常な運動、動脈血ガスの異常、酸素飽和度(SpO2)の低下等が考えられます。特に動脈血のガス分析を重視し、高二酸化炭素血症、低酸素血症に注意して検査を行います。既に酸素療法を行っている場合には、その都度患者の呼吸状態を観察しながら呼吸評価を行います。
高二酸化炭素血症・低酸素血症
動脈血ガスの分析で、以下の値で定義されます。
①低酸素血症:PaO2が60mmHg以下(=SpO2は90%)
②高二酸化炭素血症:PaCO2が45mmHg以上
低酸素血症の場合、SpO2が90%以上、PaCO2が60mmHg以上になるように使用する酸素マスクに投与する酸素量を調整し、高濃度酸素マスクを使用しても改善されない場合は人工呼吸器管理となります。高二酸化炭素血症の場合は、酸素投与だけでは十分ではないので補助換気を行います。
まとめ
今回は、「急性期の酸素療法」について記載しました。次回は「第四章 低流量システムの基本」について説明します。もし、酸素療法に興味がありましたら下記の製品情報、その他お役立ち情報へアクセスしてみてはいかがでしょうか。
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