「気管切開をすると声が出ないと聞いたことがあるが、なぜ声が出なくなるのか」また、「声を出せると聞いたことがあってもどうすれば発声できるのか」今回は気管切開しても発声できる仕組みについて説明します。
なぜ気管切開すると声が出なくなるのか
一般的に声を出す方法は、肺から口に空気が流れる際、声帯という部分に空気が通ります。声を出すときは声帯が閉じ、呼気(吐く息)の力で声帯を振動させることで声が出ます。
気管切開は声帯下の気管軟骨(第2~4気管軟骨)を切開し、気管切開チューブもしくはカニューレを挿入して気道を確保します。カニューレを通して呼吸(吸気、呼気)するため声帯を通らないため声が出なくなります。これが気管切開したら声がでなくなる理由になります。
発声のしくみ 気管切開を留置した空気の流れ
気管切開をしても声を出すには
声を出すには、呼気の力で声帯を震わせることで声が出るということから呼気時にカニューレを通らず、声帯へ空気の流れを作れば発声できるということになります。それを効率よく発声できるカニューレが「スピーチカニューレ」と「スピーチバルブ」になります。
気管切開で発声する仕組み
スピーチカニューレはカニューレの背面に窓穴が付いているタイプになります。スピーチバルブはスピーチカニューレに装着できる専用の製品になります。スピーチバルブの内部は一方弁(一方通行)になっているため、吸気(息を吸う)時はカニューレを経由して空気を肺に送ります。呼気時はスピーチバルブは蓋の役割になります。そのため呼気はカニューレ背面の窓穴から声帯へ流れます。これにより呼気の力で声帯を振動させることで声が出ます。
発声する仕組み
まとめ
今回は、一般的に声を出すしくみ、気管切開の呼吸の流れ、気管切開での発声のしくみについて説明しました。発声以外に気管切開に関して興味がありましたら下記の製品情報、お役立ち情報へアクセスしてみてはいかがでしょうか。
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セミナー風景
主な内容は下記の通りです。
気管切開患者ケアプログラム
・人工気道と気管切開
・留置と固定
・カフ管理
・発声
・吸引
・加湿、その他
・PMDA、ヒヤリハット報告
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