心臓血管手術において、人工心肺を行う際に使用するのが人工心肺装置です。心臓血管手術に使われる人工心肺装置とは? 参照
ポンプの種類
人工心肺装置に搭載されているポンプは、ローラポンプと遠心ポンプの2種類です。
ローラーポンプ
ローラポンプは、弾力性のあるチューブをしごくことで、液体を吸入したり、吐出したりできます。この仕組みは、チューブ歯磨きをしごくと、歯磨き粉が出てくるのと同じです。この仕組みを利用し、人工心肺装置に搭載されているローラポンプは、血液を吸引したり、送液したりすることができます。
遠心ポンプ
遠心ポンプは、羽根車を回転したときに生じる遠心力によって、液体が外側へ押しやられることにより、液体を送液することができます。この仕組みは、傘を回転させると、外側へ水が飛んでいく遠心力を利用しています。この遠心力を利用し、人工心肺装置に搭載されている遠心ポンプは、血液を吸入したり、送液したりすることができます。
ポンプの役割
心臓血管手術では、人工心肺装置に搭載されている複数のポンプをコントロールします。
複数あるポンプは、ポンプ毎に役割が異なり、主に①送血②脱血③サクション④心臓内ベント⑤心筋保護⑥血液濃縮などの役割があります。それぞれの役割の詳細は、以下の通りです。
- ①送血:人工肺にてガス交換された血液を上行大動脈あるいは大腿動脈等へ血液を送る。
- ②脱血:静脈(右心房または上大静脈と下大静脈)から静脈血貯血槽に血液を送る。
- ③サクション:手術中、無血視野を確保するために出血した血液をポンプで吸引して貯血槽に送る。
- ④心臓内ベント:心臓の過伸展を防止するため、心臓内の血液を抜き貯血槽へ送る。
- ⑤心筋保護:心臓を停止させ、心筋の酸素需要を抑える心筋保護液を冠動脈に注入する。
- ⑥血液濃縮:人工心肺中、薬液による補液等の理由により希釈された血液を濃縮する。
操作者(臨床工学技士)は、人工心肺装置のコントローラにてポンプ毎の回転数や流量調整を行い、ポンプの役割が果たせるように努めます。最新型のメラ人工心肺装置HASⅢコントローラは、コントローラ本体や画面に工夫が施され、操作者の視認性・操作性を高めています。
メラ人工心肺装置HASⅢでは、ポンプ毎の流量や回転数表示だけではなく、患者さんにとって必要な循環血液流量の指標となるインデックス(L/min/m2)やプロキロ(mL/min/kg)の表示を瞬時に計算し、表示します。
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