酸素療法とは
大気(空気中)より濃度の高い酸素(21%以上)を患者に投与することです。酸素は生体内で、生命の維持に必要なエネルギーの代謝に利用されます。生体内で不足すると生命の維持が難しくなります。そこで、生体は常に酸素を取り組み、血液を介して組織に酸素を送り届ける必要があります。
生体に何等かの原因で障害(呼吸器・循環器系)が生じ、組織が低酸素状態になった時には、酸素療法(酸素投与)が必要になります。
酸素療法の目的
酸素療法は、患者へ酸素の吸入により吸入気の酸素濃度を高め、PAO2(肺胞気酸素分圧)とPaO2(動脈血酸素分圧)を上昇させることで、患者の低酸素状態を改善させたり、下記の状態を改善、予防させるのが大きな目的になります。
1.血液の低酸素状態(低酸素血症)を改善
2.組織の低酸素状態(低酸素症)を改善
3.過剰な運動負荷、エネルギー消費を軽減
4.低酸素状態に基づく生体内の悪循環を改善
酸素療法の適応
酸素療法を行う目安は、以下の条件になります。
1.室内気でSaO2:90%未満(≒PaO2:60Torr)(呼吸不全の定義)
救急の場合は、SaO2:94%未満(≒PaO2:75Torr)
(ただし、Ⅱ型呼吸不全の急性憎悪の場合、SpO2<88%)
※PaO2:動脈血酸素分圧(血液中に溶け込んだ酸素の量を圧力で表したもの)
※SaO2・SpO2:動脈血酸素飽和度(血液中のヘモグロビンの内、何%が酸素と結合しているかを表したもので、パルスオキシメーターで測定したものがSpO2:経皮的酸素飽和度)
2.外見確認(低酸素血症が疑われる状態)
意識障害、頻脈・徐脈、血圧低下、不整脈等
3.重症外傷
4.急性心筋梗塞
5.短期的な治療あるいは外科的処置
まとめ
今回は、酸素療法の基本(目的、適応)について記載しました。次回は「第二章 呼吸不全の基本」について説明します。もし、酸素療法に興味がありましたら下記の製品情報、その他お役立ち情報へアクセスしてみてはいかがでしょうか。
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