目次
バルーン膨張タイミング
左心室内に溜められた血液の拍出が終了し、左心室と大動脈の間にある大動脈弁が閉じるタイミングでバルーンを膨張させることが一般的に最適なタイミングとされています。
バルーン収縮タイミング
一方、バルーンを収縮させるタイミングは、次の拍の血液駆出開始までにバルーンが収縮しきっていることが一般的に最適とされています。
不適切なバルーン膨張タイミング
最適なバルーン膨張タイミングとして、大動脈弁閉鎖点にあわせてのバルーン膨張をご紹介しましたが、これに対して、不適切となるタイミングは下記の2通りとなります。
バルーン膨張タイミングが早い場合
バルーン膨張タイミングが早いと血圧波形上に大動脈弁閉鎖点は認められず、大動脈弁の早期閉鎖や大動脈血の左心室への逆流など、心臓に対して負荷を与え心不全の状態を悪化させてしまうことがあります。
バルーン膨張タイミングが遅い場合
バルーン膨張タイミングが遅いと血圧波形上に大動脈弁閉鎖点は認められますが、大動脈圧が下がっている傾向の中でのバルーン膨張となるので、効率的な心拡張期圧の上昇効果および冠状動脈血流量の増大効果は得られません。
不適切なバルーン収縮タイミング
最適なバルーン収縮タイミングとして、次の拍の血液駆出開始までにバルーンが収縮しきっていることをご紹介しましたが、これに対して、不適切となるタイミングは下記の2通りとなります。
バルーン収縮タイミングが早い場合
バルーン収縮タイミングが早いと拡張末期圧は一時的に下がるものの、補助をしていないときとほぼ同等の高さまで戻ってしまうため、バルーン収縮による後負荷軽減効果は期待できません。また、バルーンの膨張時間が短くなるため十分な補助効果も期待できません。
バルーン収縮タイミングが遅い場合
バルーン収縮タイミングが遅いと次の拍の血液駆出が開始されているのにバルーンが収縮しきっていないため、血圧波形上の拡張末期圧が認められなくなります。また、後負荷を増大させ心臓に対して負荷を与え心不全の状態を悪化させてしまうことがあります。
まとめ
IABPバルーンのタイミング調整を手動で行う場合は、膨張開始は遅めから、収縮開始は早めから調整することで基準となる大動脈弁閉鎖点と拡張末期圧が確認しやすく、また、血液の駆出を邪魔することがないため患者さまに負荷をかけることなく安全な調整が可能となります。
IABP駆動装置の製品情報
・BP3
バルーンカテーテルの製品情報