気管吸引の実施前にアセスメントを行い、気管吸引が必要と判断しましたら、実際に気管吸引を行っていきます。今回は準備する物品と吸引手技について説明します。
目次
必要物品
吸引源(壁配管、ポータブル吸引器)
吸引カテーテル
使用する吸引カテーテルは、気管吸引カテーテルの外径が、人工気道の内径の半分以下の大きさが適切である。
(例)気管切開チューブチューブが内径8mmの場合、4mm以下の吸引カテーテルが望ましい
吸引カテーテルのサイズはフレンチ表記となっている。
「1mm=3French」のため、12Frの吸引カテーテルとなる。
※5Frが最小サイズのため、気管切開チューブの内径2.5mm、3mmに関しては、人工気道の内径の半分以下ではないが、5Frと記載。
滅菌コップ(滅菌水または生理食塩液を入れておく)
1回吸引毎にカテーテル内を洗浄するために用いる。
アルコール綿
カテーテルの表面を拭くために使用する。
水道水の入ったコップ
吸引終了後に、吸引カテーテルから吸引ビンまでの接続チューブを洗浄する目的で使用する。
経皮的酸素飽和度モニタ(パルスオキシメータ)
モニタリングしながら気管吸引する
個人防護服(PPE)
ゴーグル、マスク、ビニールエプロン、未滅菌の清潔な手袋(使い捨て)、擦り込み式アルコール消毒液
緊急時に備えて
用手換気装置、酸素、心電図モニタなど
吸引の実施
気管吸引は侵襲的な処置であるため、適切な方法で短時間に効果的な吸引を行うことが大切です。
吸引圧の設定
吸引圧は200mmHg(≒26.6kPa)以下で設定しましょう
吸引カテーテルの挿入
吸引カテーテルは、気管チューブ内や気管分岐部の1~2cm手前まで挿入し、挿入がされたところで陰圧をかけながら引き抜いていきます。1回の吸引時間は挿入開始から15秒以内になるように注意しましょう。
再度、気管吸引が必要な場合には、1回の操作後のバイタル変動が回復しているかを確認した上で実施しましょう。また、1回吸引毎にカテーテル外側をアルコール綿でふき取り、滅菌コップ内の水を吸って、内腔の分泌部を除去してから次の吸引を行います。
実施後
吸引操作実施後は、使用した物品を廃棄します。また、次の吸引操作に備えて、コップ内の水を吸ってチューブ内腔を洗浄しておきます。
参考文献
気管吸引ガイドライン2023
気管吸引ガイドライン2013
製品の品質管理向上・正しい取扱方法の提供・患者さまへのQOL向上や安全管理の一助を目的として、気管切開に関する教育プログラムを立ち上げ、皆様へご提供しております。ご要望の方は、お問い合わせより弊社へご連絡ください。
セミナー風景
主な内容は下記の通りです。
気管切開患者ケアプログラム
・人工気道と気管切開
・留置と固定
・カフ管理
・発声
・吸引
・加湿、その他
・PMDA、ヒヤリハット報告
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