副雑音は、呼吸運動に伴って生じる「ラ音」とその他に分類されます。今回は「ラ音」について説明します。ラ音は「連続性ラ音」と「断続性ラ音」の2つに分けられます。その名の通り、「連続性ラ音」は一定時間続く音で、「断続性ラ音」はぶつぶつと途切れる音になります。また、「連続性ラ音」は空気が狭くなった気道を通る際に音がするため、呼気時に聴取されます。反対に「断続性ラ音」は主に吸気時に聴取されます。
目次
連続性ラ音(呼気時に聴取)
ロンカイ(rhonchi):低音性連続性ラ音
太い気管支が搾取しているときに聴かれ、低くて持続するいびきのような「ブー」という音がします。
疾患例:異物や腫瘍などによる気管支の狭窄、気管支喘息、痰の貯留、心不全後期
ウィーズ(wheeze):高音性連続性ラ音
細い気管支が狭窄しているときに聴かれ、笛のように「ピー」という音がします。
疾患例:気管支喘息、COPD、肺水腫
断続性ラ音(吸気時に聴取)
コースクラックル(coarse crackles):水泡音
気管支壁にある分泌物で出来た膜が呼吸運動によって破られることで発声する音があり、液体の中にストローで息を吹いたときに出る音に似た、粗く大きい「ブクブク/ゴロゴロ」という音がします。
疾患例:太い気管支に痰の貯留、気管支拡張症、肺炎、進行した心不全、肺水腫
ファインクラックル(fine crackle):捻髪音
息を吐いたときに気道が一度虚脱し、息を吸ったときにパチッと開放することで音が発生すると考えています。捻髪音と呼ばれるように髪をこすり合わせたような小さく細かい「パリパリ/パチパチ」という音がします。
疾患例:肺線維症、間質性肺炎、細い気管支への痰貯留、初期の心不全、肺水腫、肺炎
参考文献:気管吸引ガイドライン2023(改訂第3版)、「ラ音の聞き取りかた」,Smart nurse2009 Vol.11 no.6
まとめ
副雑音を聴取することにより、気管吸引実施前のアセスメントや実施後の効果判定に役立てることができます。その他にも、病変部位の特定や疾患の早期発見にも繋がるため日々のモニタリングが重要となります。