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導電型対極板と容量結合型対極板
対極板の発熱についてのお話の前に、まずは対極板について解説していきます。対極板は主に、
- ①導電型対極板
- ②容量結合型対極板
の2種類があります。
導電型対極板は表皮効果の影響で対極板の電極の縁部分に電流が集中するため、縁部分の発熱が比較的高くなります。一方、容量結合型対極板は電流が1点に集中しないため、発熱が高くなりやすく、熱傷事故の発生率も下がります。
そのことについて詳しく解説します。
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導電型対極板
アルミ電極の上に導電ジェルを貼った対極板を導電型対極板といいます。
導電型対極板は表皮効果により電極の縁の部分に電流が集中し、中心部になると電流密度が小さくなります。そのため、縁では発熱が大きくなり、中心部は発熱が小さくなります。また、貼る向きによって対極板の電極に流れる電流分布が変わり、発熱状況が変化することがあります。
※表皮効果とは、周波数が高くなるにつれて、表面に電流が集中する現象です
表皮効果により対極板の縁に電流が集中した写真(電気メス出力700mA 1分間)
対極板の向きと対極板の発熱
上の写真は大腿部に導電型対極板を貼りつけ、背中でメス先から電気メスの出力700mAを1分間流した時の対極板の発熱状況です。電流が電極の縁に集中し、縁部分の温度が他の部分と比較して高いことがわかります。また、メス先に近い対極板の上の縁部分が下の縁部分よりも温度が高いことがわかります。
導電型対極板は、メス先に近い対極板の縁に電流が集中し、その部分の温度が上昇しやすい傾向があります。そのため、対極板を貼る向きによって電流が集中する部位が変わり対極板の温度上昇にも違いが現れます。長方形の導電型対極板を使用する場合は、発熱を押さえるため対極板の辺の長い部分をメス先に向けて貼る必要があります。
導電型対極板 縦貼り(700mA 1分間)
導電型対極板 横貼り(700mA 1分間)
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容量結合型対極板
アルミ電極の上に絶縁フィルムを貼った対極板を容量結合型対極板といいます。
容量結合型対極板は、電極の縁に電流が集中する導電型対極板と異なり、電極部に均一に電流が分散することにより対極板の発熱が抑えられ、向きに関しても気にせず貼ることができます。
また、容量結合型対極板は皮膚との接触面積が小さくなると電気メスの出力を抑制し、電流が集中することを防ぎます。このため、対極板が剥がれかかっても熱傷事故を起こしにくいというメリットがあります。
容量型対極板 縦貼り(700mA 1分間)
容量結合型対極板 縦貼り(700mA 1分間)
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