CPAP、PSVって何?
CPAP、PSVとは自発呼吸が認められる患者さんに使用する人工呼吸器モードです。臨床では上記モードをひっくるめて、『SPONT』と呼ばれているモードです。このモードは、自発呼吸が認められている患者さんの呼吸を助けて、患者さんが呼吸をしやすいように同調し、圧補助を行うモードです。
どういうモード?
CMV(PCV、VCV)やA/C、SIMVとは違い、換気量・換気回数などは設定しません。
前述のとおり自発呼吸がある患者さんへ使用するモードなので、換気量・換気回数は患者さんに依存します。そのため、患者さんの好きなタイミングで呼吸ができるようなモードです。ただしPEEPは設定できるような仕様になっています。
CPAPは睡眠時無呼吸症候群の治療のために、睡眠時にマスクを装着して入眠している患者さんなどに使用されるモードで、イメージとしては自発呼吸にPEEPだけ掛かったようなイメージです。1回毎の自発呼吸にサポートは入りません。
PSVはCPAPに付随してPS(プレッシャーサポート)機能がついています。PSというのは、患者さんの吸気に設定した圧分をサポートする機能です。そのため、自発呼吸はあるけれど、呼吸努力が強い患者さんに主に使用されます。
グラフィック表示
CPAP
✔ 自発呼吸(ピンク部分)が確認されますが、サポートはしません。
PSV
✔ 自発呼吸(ピンク部分)にPSがかかります。※この図で、PS:10㎝H₂Oかかっている状態
注意すべき点
ここまでお話してきた通り、CPAP、PSVは自発呼吸ありきのモードなので、患者さんの自発呼吸に依存した換気環境を設定します。そのため自発呼吸を認めない、もしくは自発呼吸が少ない患者さんにこのモードを使用すると、無呼吸および低換気状態となってしまうリスクや、PSが少なすぎて患者さん自身の呼吸努力が強くなりすぎてしまい、継続的な努力呼吸をさせてしまうような危険な環境にさらしてしまうことになります。患者さんの自発呼吸をしっかり確認した上で、このモードを選択することが必要になります。
まとめ
いかかでしたでしょうか?CMVやA/C、SIMVなどは、ある程度患者さんの自発呼吸がない、もしくは少ない状態で、術者側が換気設定を規定できるモードです。一方でCPAP・PSVなどのSPONTモードでは、患者さん自身の好きなタイミングで呼吸できるので、身体的・精神的ストレスが軽減できる他、呼吸器との同調性を考慮する必要が少ないです。しかしながら、患者さんの状態をしっかり把握して、自発呼吸のみでも換気ができることを確認した上で設定するモードなので、患者さんの全身状態の観察およびアセスメントが必須となります。