手術室などで「モノポーラ」「バイポーラ」という言葉をよく耳にすると思います。今回は電気メスの「モノポーラ」と「バイポーラ」の違いについて説明したいと思います。
モノポーラとは・・・
下の図のように、電気メス本体から出力された高周波電流がメス先(面積が小さい電極)を通り生体へ流れます。この時、メス先と生体が接触している部分の面積は非常に小さいため、この部分に高周波電流が集中し、非常に高いジュール熱や放電熱が発生し、生体組織を切開したり凝固(止血)したりします。
生体組織に流れた高周波電流は生体に貼られた対極板(面積の広い電極)で回収され電気メス本体へ戻ります。対極板と生体組織が接している部分の面積は大きいため、高周波電流は分散して対極板で回収されるため、対極板での発熱はありません。
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バイポーラとは・・・
下の図のようにピンセットのような2つの電極で組織を挟み、高周波電流は一方の電極から挟んだ組織を通してもう一方の電極へ流れます。これによってつまんだ組織はジュール熱により発熱し、組織を凝固するとこができます。
バイポーラ関連製品はこちら
このように2つの電極で生体組織を挟み、つまんだ生体組織を切開、凝固する電気メスをバイポーラと呼びます。
モノポーラとバイポーラはどう違う?
モノポーラは生体にメス先をあて高周波電流を出力するだけで広い範囲の生体組織を切開、凝固できるため非常に使いやすいのですがその反面、メス先から生体を通り対極板へ高周波電流が流れるため、生体組織深くまで高周波電流が流れ、生体組織深くまで熱による損傷をうけるデメリットがあります。
一方、バイポーラは電極で挟んだ生体組織のみを切開、凝固するため使用する診療科は限られますが挟んだ組織以外には高周波電流は流れませんので挟んだ組織以外は高周波電流による熱の損傷をうけないため生体組織への損傷を最小限にとどめるというメリットがあります。
手術室などではこのようなモノポーラとバイポーラの特長を踏まえ、モノポーラは整形外科、心臓血管外科などの手術で、バイポーラは脳神経外科、四肢や顔面の神経を扱う手術などで一般的に使用されています。